# 非常用発電機導入で失敗しない選定テクニック

災害やトラブル発生時に電力供給を確保する非常用発電機は、事業継続や安全確保のために欠かせない設備です。しかし、導入にあたっては様々な検討事項があり、適切な選定が求められます。この記事では、非常用発電機を選ぶ際のポイントを解説します。

## 必要な発電容量を正確に把握する

非常用発電機選定の第一歩は、必要な発電容量（kVA/kW）を正確に把握することです。

– 停電時に稼働させる機器のリストアップ
– 各機器の消費電力の合計を算出
– 起動時の最大電力（突入電流）を考慮
– 将来的な拡張性も視野に入れる

実際の容量選定では、単純な合計値に20〜30%程度の余裕を持たせることが一般的です。発電機の出力は、定格出力の70〜80%程度で運転することが効率的とされています。

## 燃料種別の特性を理解する

発電機の燃料には主に以下の種類があり、それぞれ特性が異なります。

ディーゼル

– 長所：燃費が良い、長時間運転に適している
– 短所：排気ガス対策が必要、騒音がやや大きい

LPガス

– 長所：排気がクリーン、長期保存が可能
– 短所：燃料供給インフラが必要

都市ガス

– 長所：燃料供給が安定、メンテナンスが比較的容易
– 短所：災害時のガス供給停止リスクがある

施設の用途や設置環境に合わせて最適な燃料を選択することが重要です。

## 設置場所と環境条件を検討する

発電機の設置場所は性能や寿命に大きく影響します。

– 換気は十分か
– 排気ガスの処理は適切か
– 騒音・振動対策は十分か
– 燃料の補給・保管場所は確保できるか
– 定期点検のためのスペースは確保できるか

特に屋内設置の場合は、換気や排気対策が不可欠です。また、周辺環境への騒音影響も考慮しましょう。

## 法令・規制への対応

非常用発電機の設置には様々な法令・規制が関係します。

– 消防法：燃料保管に関する規制
– 建築基準法：設置場所や構造に関する規定
– 電気事業法：電気設備技術基準への適合
– 環境関連法規：排気ガスや騒音に関する規制

特に大型の発電機を導入する場合は、事前に専門家や自治体に相談することをお勧めします。

## 運用コストとメンテナンス計画

初期導入コストだけでなく、長期的な運用コストも検討しましょう。

– 燃料費
– 定期的なメンテナンス費用
– 部品交換費用
– 耐用年数と将来的な更新計画

特に定期点検は発電機の信頼性確保に不可欠です。月次点検、年次点検などの計画を立て、専門業者との保守契約も検討してください。

## 専門家への相談と資格制度の活用

非常用発電機の選定・導入には専門的な知識が必要です。電気主任技術者や非常用発電設備専門技術者などの資格保持者に相談することで、適切な選定が可能になります。

また、一般財団法人電気技術者試験センター（FESC）などの専門機関では、電気に関する資格試験や情報提供を行っています。これらの機関が提供する知識や資格制度を活用することで、より信頼性の高い発電設備の導入が可能になります。

## まとめ

非常用発電機の選定には、容量・燃料種別・設置環境・法令対応・運用コストなど、多角的な視点からの検討が必要です。専門家の助言を得ながら、施設の特性や用途に最適な発電機を選定することが、災害時の事業継続や安全確保につながります。